海外に行けば英語が伸びると思ってますか?語学留学の実態を切り刻む真実の暴露コラム
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語学学校の実態

カテゴリ: 語学留学の実態

1)語学学校だけじゃ意味が無い

語学留学では、通常「ESL」と呼ばれる語学学校に通うのが一般的であり、これが英語学習のスタートダッシュをする為に重要なプロセスです。とにかく、英語を喋るには、口から発する言葉を知らないと始まらない。

しかし語学学校にいるネイティブスピーカーは、生徒数の10分の1にも満たない、わずかな先生達のみ。その代わり、自分と同じように英語をまともに喋れない各国の学生がたくさんいて、先生よりも彼らと話す時間の方が圧倒的に多い。ましてや日本人だって現地にはたくさんいる。でも、これが、語学学校のあるべき姿なのです。

と言うのも、そもそもESLはあくまで「学ぶ」場所であり、会話がそこで上達する訳では無い。つまり「学ぶ⇒使う」という言語習得のプロセスで、ESLの機能は「学ぶ」の部分が殆ど。授業や学内で喋る会話なんてのは、時間的にも内容的にもたかが知れている。

この環境を素直に見つめればわかりますが、語学学校はあなたの英語力を最終段階まで引き上げてくれる場所では無い。これから留学する人はこれを肝に銘じておくだけで、心構えが随分と変わります。ESLに通う事は避けて通れないが、通えば通うほどスピーキングが上達するなんて訳が無い。あくまで英語学習のスタートをきる場所なんです。

2)楽しい友人関係の罠

友人もう一つESLに関して肝に銘じておくべき事があります。語学学校では色んな国籍の友達ができ、ホームパーティをしたり外に遊びに行ったりと時間が経つにつれ仲もよくなる。こうやって友達(しかも多国籍)の輪が広がるのは誰にとっても非常に楽しい事。今まで日本文化だけの、凝り固まった環境で育ってきた我々が、まったく価値観の違う他国の文化や考え方に直に触れ、自分の中で新たな世界観を形成してゆく。これが、帰国した留学生がよく言う「留学して日本を見る目が変わってきた」という感覚に繋がってゆくんだと思う。とにかく日本に居たら絶対出来ない経験で、一生の思い出になるのは確実です。

しかし、この楽しさに埋もれて本来の留学目的に対する志が薄れてしまう学生が多いのも事実であると思う。留学生同士だと下手な英語でも気軽に話せるし、相手も自分が言ってる事を理解してくれる。要するにマッハのスピードで喋るネイティブと比べると、付き合うには「楽な相手」な訳です。ネイティブと話す事にプレッシャーを感じつつ留学生とつるんでいる時間が長い人は、結局留学生との交流が逃げ場になってはいないだろうか?ぶっちゃけ留学生同士で喋っていて語学上達に寄与する事なんざ殆ど無いと言っても良いのに。

留学生と仲良くするな・・と言ってる訳では決してありませんが、その時間が長くなるほど本物の英語に触れる機会が減る。人付き合いを考える時は「留学生とつるまないようにする」というネガティブ思考では無く「ネイティブと話す機会を増やす」とポジティブ思考でアクションを起こしていこう。せっかく出来た海外の友達をわざわざ減らす必要は無い。

3)ぬるま湯につかる

難しい海外の大学に入学して勉強する、いわゆる「大学留学・学部留学」は、ESLに通う事が中心となる「語学留学」とはその厳しさが違う。語学留学以上にハイレベルな英語を必要としながら、目的は英語以外にあるのだから。
大学で授業をとり、単位を取る事の辛さはハンパじゃない。とにかく単位を落としたら大金を払った数ヶ月の勉強が全てパアだから真剣にならざるを得無いのです。しかも留学生だったら初めは自分の限界に近い英語力を相当に駆使して取り組まないとやってけないはず。ネイティブ向けの学校で勉強するんだからこの位のハードルは当たり前。しかし自分に跳ね返ってくるリターンも非常に大きい。

一方語学学校は「英語そのもの」を学ぶ場所であるから、難しすぎてついていけないんじゃ意味が無い。という事で語学学校(特に私立)は非常に快適な学習環境を用意しています。特に会話を上達させるには「楽しく学ぶ」事が効率的であるから、いかに楽しい学校であるかをどこの学校も揃って主張します。また通常はレベル分けもされているから、クラスメイトはだいたい近い英語レベル。よってコミュニケーションもとりやすいという事です。
ESLにも厳しいとか甘いとか色々な評価はありますが、これも所詮ESLレベルのどんぐりの背比べ。そもそも「宿題が毎日出る」「遅刻厳禁」「English Onlyが厳しい」といった要素が学校の厳しさを決める時点で学部留学とは次元が異なる

こういった環境の違いが原因で、「英語が目的の語学留学」が「英語以外が目的の学部留学」より英語を伸ばし難い環境というのは、皮肉ではあるが現実なのです。

ESLは英語の基礎を学ぶ場所であり、楽しく学ぶ事で会話力を上達させようとするのはその目的に適っている。しかしこのぬるま湯に浸って真剣さや気合が何処かに行かないように気をつけたい。大学のような、尻を叩かれ焦って取り組む位のシビアな環境は、人間の吸収力も同時に高めるのだと思う。それが無い楽しいESLでは、自分がしっかりとした学業意識を持つ事が大切です。

4)それでも必要なESL

話したい以上、色々とESLに関しての注意点を述べてきましたが、それでもESLはやっぱり必要です。上でも述べましたが、英語を喋るにはまず英語を知らないといけない。いきなりネイティブスピーカーの輪の中に突っ込んで行っても、自分の言いたい事を伝える為の語彙や表現、聞き取りや発音が出来なければ結局は何も出来ず自分を追い込むだけ。これではいくらネイティブと喋ってもスピーキングが上達する事は有り得ない。

大人になった我々が新たな言語を学ぶには、ただネイティブ社会に溶け込めばいいって訳じゃなくて、「頭を使って」英語を学び、そして学んだ事を意識的に使う事から始めないといけない。柔らかい脳みそを持つ子供がネイティブの輪の中に入ってグングンと言葉を覚えるのとはお話が違う。大人になり脳みそが硬くなってしまった我々は、環境に任せっきりでは言葉は一生成長しない。

日本では中学・高校を通し最低でも6年間は英語を学んでいる。しかし日本で学んだ知識だけで組み立てられる英語は非常に不自然であり、しかもバリバリのカタカナ発音である日本人が幾ら喋ってもネイティブは理解してくれない。ESLはまさにこれらの点を矯正してくれる。

生の英語、本当の英語はどんな表現や言い回し、ルールがあるのか。基礎的な発音やリスニング。ESLではこういった事を中心に生の英語を教えてくれ、非常に大切な基礎を作らせてくれる。

学部留学の人も含め、留学の初めは誰もがESLを利用すべきである。ESLで学ぶべき事を知らないと、学部留学でいきなり大学の授業に入っても自分を追い込むだけなのです。もしくは授業が聞き取れて単位はとれてもクラスメイトとうまくコミュニケーション出来ない・・という状況になるのがオチである(こういう留学生は多い)。

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