カナダの学校について

カナダの語学学校

語学学校の事をカナダでは一般的にESLEnglish as a Second Language)と呼びます。さらに分類すると私立語学学校やカレッジ・大学付属語学学校がありますが、一般的に「語学学校」と呼ぶと私立ESLの事を指します。カナダにはたくさんの語学学校があり、その中から一校だけ選ぶ作業は正直言って簡単ではありません。とはいえ選ぶポイントは自然と誰でも共通するものになってきます。 そこで代表的な学校選びのポイントを挙げて、私の個人的な考えを書いておきます。


具体的な学校選びはこちらから

私立語学学校か付属ESLか?

語学学校は簡単に言うと私立語学学校大学付属ESLの二種類に分けられます。両者は異なる特徴を持つので、学校を決める前にそれを理解しておきましょう。



私立語学学校 大学付属ESL
料金 ピンキリなので学校やコースを選ぶ事で費用を調節出来る。平均は月1200~1500ドル程度。 セメスター単位に定額制で私立ESLより高い。四ヶ月で5000ドル前後かそれ以上。
通学期間の
最小単位
通常は1セッション4週間だが、1週間単位で通学可能な学校も多い 大学と同じセメスター制(約四ヶ月)など
提供プログラムの特徴 総合力の強化が目的で、会話に重点がある傾向。バラエティに富んだ選択授業も魅力。 基本的に大学進学が前提で、進学後に必要となる英語力を鍛える。エッセイや文法などに力点がある傾向。
授業の傾向 工夫を凝らして楽しく効果的な授業を追求している。逆に言うと厳しく無い。課題や宿題は少なく試験も無い。 授業の楽しさは先生次第だが硬く厳しい傾向。課題や宿題、試験が多い。会話より理論でしっかり勉強の傾向。
学生の国籍 アジア人が多めの傾向。日本人、韓国人、台湾人など。南米も多く、最近は中東も増えてきた。ヨーロッパ生徒は一部の学校には多い。 やはりアジアが大半。とはいえ日本人・韓国人の割合は私立と比べると低いが、かわりに中国がすごく多い
メリット 用意されている授業・値段はバラエティに富む。一ヶ月区切りなので入学時期や通学期間の柔軟性が高い。学生獲得の為の企業努力が見られ、魅力のある楽しい授業を提供している。会話重視の学校が多く、実用的な英語の早期習得に向く。 課題・宿題や試験などがあるので、しっかり勉強出来る。授業はアカデミックで、大学進学を考えている人には私立よりお薦め。大学の授業を受講出来る可能性。恵まれた大学設備の利用、大学生との交流のチャンスなど。
デメリット 宿題や試験が少ないので、勉強の密度は自分次第(学習目標を失い易く、人によってはだらけやすい)。日本人・韓国人が特に多いので、その輪に埋もれて英語上達の壁となる事もある。 比較的料金が高い。一ヶ月単位といった履修が出来ない・入学時期が限られている等、システムの柔軟性が低い。ライティング等が特に重視されるので、会話を伸ばしたい人には向いていない


両者共に異なるメリット・デメリットがあげられ、目的次第でどちらがよいのかは分かれる。上記に記載しなかった点としては、どちらの学校タイプもパーティや小旅行等のアクティビティで学生や先生との交流を図る企画が用意されている事。企画内容は私立の方が豊富かもしれない。またロケーションで言うと、語学学校はダウンタウン等の利便性の良い場所に集まる傾向があるが、大学はバス等を使い都市部からやや離れた所にある傾向も。

選択の指針としては、いわゆる短期の語学留学で会話を中心に伸ばしたい人は私立語学学校の方が向いているだろう。料金もリーズナブルだし、その時の上達具合で柔軟に勉強スケジュールを変更できる。
一方しっかりと英語の基礎を固め、特に知識面の理解を深めてアカデミックな力をつけたい人は付属ESLの方が向いているだろう。進学を考えている人も入学後の厳しい勉強で必要な基礎を身に付けられるし大学に関する情報や知識も手に入りやすいのでメリットはある。大学付属は硬くてエッセイばかり・・と言うイメージがあるが、当然会話を伸ばす機会もある。学校が大学生を会話パートナーを紹介してくれる学校もあるし、ネイティブに触れる機会は私立語学学校よりも多いだろう(自分の行動力次第だが)。しかし私立語学学校よりも市場競争をあまり意識していない為か、「楽しさ」や「柔軟性」といった点の配慮に欠けるという印象がある。私立ESLのように楽しく学ぶと記憶の効率がよい事は覚えておいた方がいい。特に会話のクラスで言える事である。


さてこれより以下では「私立語学学校」に関して述べたいと思います。学費に関しては留学の費用でも言及しています。

授業時間

平均的なESLの授業時間は週22.5~25時間程度となります。20時間ですと勉強量は軽め、30時間だと長め、という印象を持っていただいて問題ないでしょう。週25時間は一日5時間という事になります(例:9時から14,15時くらいまで)。普通に英語を勉強したい方はこの時間で十分かもしれません。30時間だと一日6時間。週25時間に比べて一日一時間増えただけじゃなく、そのぶん宿題や復習の量が増えますので、想像以上に内容は濃くなります。週30時間以上のカリキュラムは特にしっかり学びたい方、短期集中で勉強したい人向けのプログラムです。

長期で滞在予定の人なら週25時間程度をベースに考えてゆくとよいかもしれません。もちろん授業時間と学習内容の中身・質が比例する訳ではありませんので、あくまで目安とお考え下さい。具体的には現地の状況をよく知っているマイルストーンカナダのカウンセラーへご相談下さい

費用

誰もが気になる、学校の費用。週25時間前後の授業料は一ヶ月(4week)1,200~1,400ドル位が相場でしょうか。月1400ドル超えると高い部類ですが、そのような学校も多いです。探せば安い学校もあり、1200ドル以下になるとかなりお得な部類の学校です。費用と質は必ずしも比例しませんが、高い学校はそれなりにお金をかけてる、という印象はあります(普通に考えれば教師への給料に反映されていると想像できるので、良い教師獲得に力を入れているとも想像できます)。
ただ費用は、学校選びで重視するポイントとしては一番には持っていかない事をお勧めします。金額重視になると、結局自分との相性を軽視して、中身を無視して見た目で選ぶ、という危険な考え方に近いからです。

期間

一般的に、語学学校は長期間通う所じゃないとも言います。今まで英語だけを毎日、何ヶ月も勉強した事がありますか??例え私立語学学校が頭を使いいろいろ楽しく効率的に学べるコースを用意しても、長期間通い惰性が出て来て退屈になるのは人間なら避けられない話。

そのために何をするかと言うと、語学学校を転々と変えたり、専門学校(特にビジネス系)等に変える人が多いのです。 実際どこの学校も同じ内容を繰り返しやっているので、例えばグラマーは三ヶ月カリキュラムだから4,5ヶ月同じクラスとると同じ事を学んだり・・という事がある(小さい学校の場合)。また学校を変えてもある程度学んだら何処の語学学校に行っても同じ内容を学ぶ確率も高くなる。

長期留学を考えてる人は、初めは半年未満で申し込んで、通いながらその後のプランを練る
のが一番。とは言え、長期申し込みだと値段が安くなるので、どうしても長期を選びたい人は出来れば大規模な学校にするのが無難(選択クラスやコースが多彩で、レベル数も多いから長期通える環境がある)。またインターンシップなどが含まれたコースにするのも一つの手。

学校の規模

規模の大きい大手校は、一般にシステムやカリキュラムがしっかりしてると言える。また歴史がある学校も多く、教育システムやアクティビティ、その他様々なサポートが充実してる傾向にある。選択授業やレベルの多さ(より自分にあったレベルが見つかりやすい)、国籍の多彩さも期待できます。ただ一般に規模が大きい程、アットホームさが減るのは避けられない。こじんまりとアットホーム、わいわい楽しく、フレキシブルな学校なら小規模校です。

学生の国籍割合

これも気になる重要なファクター。一般にどこの学校に行ってもたくさんいるのは韓国、日本、メキシコでしょうか。次いでブラジル、サウジアラビア、台湾あたりでしょうか。韓国人や日本人は多くの学校でMajorityです。なので、あまり国籍にこだわり過ぎると、本当の意味でよい学校・自分にあった学校というのを見失いがちのようにも思います。

国籍による人数制限を設けている学校もある。しかし制限があっても事実上意味をなしてないケースもある。たとえば、学校全体では同国籍最大25%までと決めていても、クラス毎の制限をしてないから、ビギナークラスは日本人・韓国人が増えてしまう、なんてのはよくある話。
また同じ学校でもレベルが高いクラスは生徒が少ないので生徒殆どが韓国人だとかそういう場合もありうる。同国籍の人数が気になる時は、最低限上記のような制限があるか、実際の国籍割合がどうなのかは確認しておきましょう。

学生同士では、たとえば休憩時間などやっぱりアジア系、ヨーロッパ系、南米系でそれぞれ固まる傾向があります。文化や感覚が近いから仲良しになるのは必然の流れ。これはしょうがない。でも話す言葉は英語だし、ここでは国籍はあまり関係ないかなって感じしますよね。・・・しかしここは各国毎に英語を話す時のくせがある事に注意。日本、韓国、中国、メキシコ、スイス、スペインそれぞれ違うくせがある。要は日本人同士で、たとえ英語では話していても日本人のくせを持つ英語でお互い話している。人によっては、一応英語を使ってるけど漫画の吹き出しに代えたら全部カタカナだろオイって発音の人も居るわけです。あれは実は英語じゃなくて日本語です。やっぱり同国籍で話す機会は例え英語であっても減らしたほうがベターなのは間違い無い。(スキルアップの上で致命的では無いけども)

上にも少し書いたけど、レベルが高くなると学生が少ない。日本人も、低レベルに固まって、高レベルでは少ない傾向がある。同じクラスの日本人を減らしたい場合は頑張ってスキルアップするのが一番?!
あと学生の国籍割合は学校の規模は関係ないので、有名校・大規模校だから多国籍って事はありませんのでご注意を。また国によって有名な学校が異なります。例えばとある語学学校はスイスにエージェントがあるのでヨーロッパからの学生が多いとか。日本人が社長のとある語学学校は当然ながら日本人が溢れんばかりにいるとか。いやー他にも生情報を聞いてると日本では分からない事ばかり。怖いですなぁ。

授業内容

クラスの内容は上記で大規模校ほど教育システムがしっかりしてる傾向があると書いたが、クラス内容の満足度に限って言えば、最終的には殆ど教師に質に委ねられる。あの先生のクラスは超boringとかの噂はどこの学校でもよく聞く話。学校の教育方針がしっかりしてても、先生がやる事はプリント配って筆記ばかりとか先生の会話速度がのろい、態度が積極的じゃない、教え方が堅苦しいとか。ほんと色々あります。

私の個人的な考えでは、よい先生は授業の中でいかに印象的な教え方をするかどうかが大きなポイントだと思う。たくさん喋ってくれる人、例えてアクションや絵などで色々工夫してくれる人、受けた質問に対しピンポイントではなく幅を持たせて意味を教えてくれるとか。でもよい先生にあたるかどうかは運しだい・・・

場所

トロントやバンクーバー等の都市部には学校もたくさんあるし、必然的に韓国・日本人の学生はわんさかいます。では田舎に行ったら日本人は少ないのかというととんでもない。街全体の学生数が少ない分、逆にクラスでは日本人割合が高くなったりという話も聞きます。もちろんその逆もあります。田舎だろうが都市部だろうか同国籍を気にする場合はあまり関係ないと思った方がよいでしょう。

都市部でも語学学校が固まってる地域だと、色々と学校情報の交換や他校の偵察、エージェントや教育関連機関が多くあったりして情報面での利便性は非常に高い。カナダきてから決める事ややる事が色々ある人は初め都市部に来る事をお薦めします。

費用を抑えて勉強に専念したい、遊ぶ所が少なくてもいいって人は田舎の方がお得。とにかく生活と勉強は田舎の方が断然安いから。