カナダ留学・ワーキングホリデー

カナダの貸し部屋

カナダ滞在中の住まいとして、ホームステイやアパートシェアと並びポピュラーな貸し部屋について説明していきたいと思います。

貸し部屋とは

現地ではRent Roomなどと呼ばれる貸し部屋ですが、簡単に言うと

   自分専用の部屋、キッチン・バス等はシェア、家賃は光熱費込みで定額

という生活スタイルになります。一緒に住む人は自分と同じくテナントである場合もあれば、家のオーナーだったりもします。イメージとしては、ホームステイの食事無し・・に近いケースもあれば、寮に近いケース、またアパートシェアと殆ど区別がつかない場合もあり、様々です。いずれの場合も、オーナーは空き部屋を有効に活用出来て、一方テナント(住人)は安価で手軽に住居を得られ、双方にメリットがある訳ですね。

貸し部屋の一般的な共通点は以下のとおりです。
  • 手続きはオーナーに家賃を払うだけで簡単(契約等は不要)
  • 自分用の部屋が与えられる
  • キッチン、バスは誰かとシェアする
  • 家賃は光熱費込みで定額
  • ベッドや机など、家具類は通常揃っている
  • 入居時にデポジットを払う
  • 初めに二か月分(入居月と退去月)の家賃を払う ※退去が決まった際、最終月の家賃に充てられる

またその家によって異なるのは以下のような点です。
  • オーナーと一緒に住む場合と住まない場合
  • 他にテナントが居る場合と居ない場合
  • 一軒家の場合やマンションの場合
  • 洗濯機がある場合と無い場合(無い時は外のコインランドリーを使用)
  • インターネット回線が用意されている場合とされていない場合
  • キッチン用具は揃っている場合と自分で購入する場合
  • ロケーションは駅側からバス利用までさまざま

貸し部屋はアパートシェアと同様に生活費節約の手段にもなっています。自分の部屋以外は誰かとシェアするのが通常ですから共同生活に近いものがあり、贅沢な環境だったり行き届いたプライベート・・等をあまり期待してはいけません。その代わりに手ごろな値段で家具も揃っている環境が手に入り手続きも簡単、入居すればすぐに生活可能・・という点がとても便利です。

なお私の経験ではトロントが特に貸し部屋がポピュラーで、クラシファイドを覗けばたくさんの貸し部屋情報が見つかります。アパートシェアの方がやや少ない印象です。一方バンクーバーではダウンタウンにアパートが多いため、圧倒的にアパートシェアが留学生の間ではポピュラーです。ダウンタウンから少し離れるとベースメントや貸し部屋の物件も見つかります。

ちなみにオンタリオ州では貸し部屋だけで無くホームステイやアパート等の家賃がTAX Returnの対象となります。幾ら返ってくる・・とははっきり言えませんが、一年間で数千ドルを家賃として出費した場合数百ドル!も返って来る事があります。この場合、支払ったオーナーの名前、住所などがわかればほぼ問題ありません。年度末のTAX Returnの時期(1~3月)には家賃申告も忘れずに!

自分で用意するもの

入居にあたり、自分で購入する必要があるもの・ないものは以下のとおりです。

ベッド、シーツ、枕: 通常は用意されている
勉強机: 通常は用意されている
食器・調理器具: オーナーによりけりだが、用意されているケースが多い。
テレビ: オーナーによりけりだが、自分で購入するケースが多い。
ネット接続: オーナーによりけり。接続環境があっても別料金のケースも。
電話: 殆どはオーナーの電話をシェア出来る。
トイレットペーパー: 通常は自分で用意
石鹸、シャンプー・リンス: 通常は自分で用意
パソコン: まず用意されてないです。自分のノートPC持参のこと。

言うまでも無く実際は各オーナーにより様々ですから、クラシファイドで探す時やオーナーに会った時に直接確認しましょう。テレビや調理器具・食器などは自分で用意する可能性もありますが、これらはクラシファイドで安い中古品が簡単に見つかると思えば、多少情報出来る部分もあります。
ネット接続の有無は様々ですが、有る場合は部屋にケーブルが出ていてパソコンに差し込むだけ。接続料金は家賃に込みのケースもあれば別料金の場合も。接続環境が無い場合はまず自分でプロバイダーと契約しないといけないので面倒です。ネットが必要なら予め用意されている所がベター。ちなみにネット接続OKと言ってもパソコンがある訳じゃなく、ネット接続用のケーブルが部屋にある・・という意味ですから、自分のPCを持参しないとインターネットは出来ません。

以上よりまとめると、「テレビは自費購入の可能性高し。紙類などの消耗品は自費。食器類やネット接続混みの物件が便利」といった感じでしょうか。

オーナーや同居人

オーナー

色んなパターンのオーナーがいますが、例えば自分の家で空いている部屋を学生向けに貸し出している人。この場合はオーナーと一緒に住む事になりますので、単に部屋を借りる・・というより一緒に住むというイメージです。オーナーは一人の事もあれば、家族の場合もあるでしょう。ホームステイの食事なしに近いイメージです。とは言えオーナーはネイティブスピーカーの事もあれば、移民した外国人、または移民した日本人という事もあります。建物は一軒家の事もあれば、広めのアパートの場合もあります。

また別のオーナーパターンとして、その家全てを貸し部屋にしてテナントに住ませ、オーナーは別の家に住んでいるケースもあります。この場合はオーナーはビジネスとして貸し部屋業を営んでいます。建物は、これも一軒家の場合もあれば、部屋が幾つもある大きめのマンションという場合もあります。ただこうしてビジネスとして運営している人は備品や住環境をそれなりに整えているので、好条件も多い。

同居人

オーナーと一緒に住む場合は、いわゆるハウスメイトは居ない場合もあります。つまり自分とオーナーだけ。オーナーがネイティブスピーカーなら英語上達の面でも儲けモンですね。
同居人がいる場合は、多くは自分と同じような留学生となります。やはりアジアからの学生が多く、日本、韓国、香港や台湾が多い印象です。東南アジアもたまに。また学生では無く働いている人もいますし、ヨーロッパ方面からの人、カナダ人の場合もたまにいます。日本人を避けたい場合、多くの人は韓国人、中国人(香港)にあたるケースが多い。(私のトロントでの経験上)

手続き

貸し部屋の利点はなんと言っても簡単な手続き。アパート契約のような書類手続きは一切不必要。基本的にはオーナーにお金を払うだけで、契約書やらの書類手続きは一切無し。その代わり一般的なルールとしては以下のようなものがあります。

デポジット

入居を決めた場合、必ずその意思表示としてデポジット(前金や敷金みたいなもの)をオーナーに預ける必要があります。その額は100ドルだったり家賃一ヶ月・二か月分など様々ですが、このデポジットを渡した時点でオーナーは初めてその部屋をあなたの為に確保してくれます。
よく言われるのは「以前、入居すると言った人が音信不通となり姿を表さず、部屋は一ヶ月間カラになってしまった(つまり一ヶ月分損した)。この事態を避けるためにデポジットを預かっている」といった話です。とにかくオーナーは入居の意志を確認(逃げないように)する為にデポジットを預かるのであり、手数料などではありません。このデポジットはその後家賃に充てられたりして戻ってくるのが普通。しかしデポジットを払った後で入居をキャンセルした場合、このお金は戻って来ません。だからオーナーにとってはテナントのドタキャンや音信不通を避けられる・・という事です。

初めの支払い

初回の支払いは通常二か月分という一般的なルールがあります。(トロントでは法律で決まっている・・という噂も聞いたが、そこまでは調べてないんでわかりません) この二か月分とは、入居した初めの月の分と、退去する最後の月の家賃として扱われます。つまり退去する月の家賃は支払済みなので、改めて払わなくてもよい・・という事になります。
ただ次で述べる退去時の一ヶ月前申告を守らなければ、この最後の一か月分が戻らないよ・・というメッセージでもある訳ですね。つまりオーナーとしては、滞在の途中で急に引越しされる恐れが無くなるというメリットがある訳です。

引越しの告知は退去の一ヶ月以上前

これはアパートやホームステイも同様ですが、その部屋から出てゆく時は一ヶ月以上前にオーナーへ退去の連絡する必要があります。オーナーによっては二ヶ月前に告知・・というルールにするところも。オーナーとしても次のテナントを探す時間がいるため、退去まで一ヶ月をきって急に言われても次のテナントを十分に探す事が出来ず損になる・・という事で、退去は早めに言ってくれる事を望んでいる訳です。

家賃

家賃は環境によりピンキリですが、平均的な内容の貸し部屋で一ヶ月400~600ドル程度と思えばよいでしょう。これに光熱費など全て含まれていますから、残る生活費は自炊の為の食費などだけです。この簡単さが貸し部屋の利点。
家賃価格を変動させる要因は、部屋の広さとロケーションが一番だと思います。建物が駅の側だったり、部屋がとても広かったり、またジム付きの高級アパートだったりすると値段は高くなる傾向で、貸し部屋のくせに600ドルを超える所もある位。とは言えやっぱり平均は400~600程度なので、500ドルを超え始めるとやや高めという印象をもてばよいと思います。しかしながらたまに300ドル程度のツワモノ物件もあったりします(笑)

家賃に見合う物件かどうかの判断は自分が直接訪れる以外にありません。600ドルや700ドルでも住みたい!と思わせる物件かもしれませんし、とんでもなくサバ読まれてる物件だったりもします。居住環境の快適性はカナダの生活全体はおろか、留学の成果にまで影響を及ぼしかねません。部屋探しの時は下見する労力を惜しまないようにしましょう!

ところで、家賃を支払った後は出来るだけ領収書をもらいましょう。お金のやりとりですから、トラブルを避ける為にも領収書は鉄則です。

探し方

1.物件情報を探す

入居希望日の一ヶ月位前から部屋情報をチェックし始めましょう。あまり早すぎても情報は見つかりませんが、遅すぎると希望の物件が見つからず妥協する羽目になりかねません。
部屋情報はネットや日系フリーペーパーのクラシファイド、また学校や現地エージェントの掲示板にたくさんの部屋情報が掲載されています。情報の量と早さで言えばネットのクラシファイドが便利ですね。また現地新聞や英語クラシファイドで探せばカナディアンと接点の多い物件も見つかるかもしれません。

2.下見のアポをとる

さて気になる物件を見つけたら、掲載者に連絡して下見の予約をしましょう。部屋決めは何より自分の目で見て確かめないと話しになりません。掲載者のメールと電話番号が書いてある場合、迷わず電話にしましょう。メールだと返事が遅い場合もありますし、他の人に先を越されてしまう可能性があります。電話番号が書いてあるのにわざわざメールする理由はありません。行動は先手先手で!

3.下見をする

アポした通り実際に部屋を訪問し、下見をします。少なくとも数軒はまわって比較しましょう。そしてとにかく家中、部屋中くまなくチェック!何も考えず訪問して印象だけで決めるような事はせず、予め「譲れる点、譲れない点」を整理しておく事が重要です。チェックポイントとしてあげられる以下の様な点です。
見える部分
・自分で用意するものは何か
・騒音(外から、隣の部屋から)
・駅からの距離
・他のテナント
・風呂の湯量(実際に流してみる)
・部屋カギの有無
・ネット接続
・日の光
・洗濯機の有無
目で見えない部分
・住む上でのルール
・家賃の設定、支払い方法
・デポジットの額
・退去時のルール
「他のテナント」はキッチンやバスをシェアしますから、ある程度エチケット・マナーを心得た人が望ましいですね。見落としがちなのが「バスの湯量」で、できればバスルームでお湯や水を出してチェックしましょう。またこれは確認しきれませんが、お湯が出始めてからの持続時間が5~10分と短い場合があります。これは他のテナントに聞くなどするしかないですね。シャワー時間の長い女性は特に不満が出やすい部分です。また生活や家賃に関する様々なルールなど、聞かないともわからない部分も重要ですから確認を忘れずに。

4.入居を決めデポジットを払う

部屋を決めたら、その旨オーナーに連絡して、デポジットを払う為にまた会いましょう。デポジットを払ったら領収書をもらう事を忘れずに。また状況によっては前のテナントが早く退去するために、自分は早めに入居できる可能性もあります。だから念押しで「何日から入居出来ますか?」と確認してみるのもよいでしょう。早めに入居可能なら、引越しも楽になるかもしれません。またオーナーによっては入居日に車を出して手伝ってくれる事もあります。そしたらラッキーでございます。

注意点など

お金関係

なんと言っても金に関する行き違いはトラブルの元。領収書をもらう事は基本ですが、家賃は毎月いつまでに支払うか、家賃以外に支払う必要のものがあるか・・などオーナーと意識を合わせておきましょう。たまにネットやケーブルテレビの費用を折半させられる場合もありますので、必要な人は要確認。
また入居時に払った二か月分の家賃のうち一か月分は通常最後の月に充てられますが、オーナーによっては「預かった一か月分は、新たなテナントを見つけた時にその人から返してもらう」というやり方の人もいました。つまりテナント同士でお金を繰越し続けているという事です。とまぁ、そういったお金のルールもちゃんと確認しておきましょう。

ルールの確認

オーナーにより、そのルールは様々です。入居前、入居後もしっかりチェックしましょう。ルールの誤解は思わぬストレスにも繋がりかねません。一番重要なのは上でも述べた家賃関係のルールですが、キッチンやトイレの利用、シェアするもの・しないもの、喫煙(室内はまずNGですが、そもそもオーナーが喫煙者を禁止していないかなど)、また次のテナントは自分が探さないといけない・・というルールの所もたまにあります。

テナントとしてのモラル

私がよく耳にしたのですが、オーナーにだまって室内で喫煙、人を呼んでのパーティ、ゴミを散らかす、濡れた洗濯物を部屋で乾かし垂れた水で床が腐った・・など、聞くに堪えないマナーの人もいます。一般的には日本人はマナーが良いのでオーナーからは他国の留学生と比べ圧倒的に喜ばれますが、日本人も私の知る限りそればかりではありません。海外に居るという自覚を持ち、自立した一人の人間として恥ずかしく無い行動をしましょうね。